ラガーと捜査に向かう車中で
運転はラガー、ジプシーは助手席。自分の立てた推理に不利な証拠続出で、自信をなくし落ち込むラガー。そんなラガーにジプシーは──
- ラガー
- 「信じられない…。ドジなのは、俺のほうだったってわけですね」
- [ジプシーは癖の、口元に手をやるポーズで黙って前を向いている]
- ラガー
- 「ほんと言うと俺、自分がいつもドジだから、だから…。木谷の気持ちが(ジプシー、一瞬だけラガーに視線を向ける)…よくぅわかるような気がしたんです」
- ラガー
- 「それで、今の木谷の気持ちを、俺なりに考えてみました。そしたら、…主犯の男から金を取って、別れた彼女に、こっそり渡し、自分はどっか人目の付かないところで暮らす。そういう答えしか、出てこなかったんです」
- ラガー
- 「九州に友達に体ひとつで行くって電話してるのも、ぴったり一致したし、…間違いない!って思ったんだけどなあ…」
- ジプシー
- 「(前を向いたまま聞いていたが言葉をかぶせるように)だったら何故その説を捨てる?」
- ラガー
- 「でも原さん、」
- ジプシー
- 「一度信じたことは、俺は叩きのめされるまで、捨てない」
- ラガー
- 「でもォ」
- ジプシー
- 「それができないんだったら、俺は初めっから信じない」
- ラガー
- 「(やや興奮気味にジプシーのほうを一瞬向いて)無茶言わないで下さい!これだけ逆の証拠が出そろったらどうしようもないじゃないですか! もう、叩きのめされたも同じじゃないですか!」
- [ジプシー、相変わらず黙って前を向いている]
- ラガー
- 「(黙ったままのジプシーをちらっと見て)違うって、言うんですか…。こうなってもまだ、死体はやっぱり木谷だったっていう…可能性がある、っていうんですか。そうかなあ……。まいいや、(ようやく少し笑顔になる)どうせだからもう一度信じてみよう!」
- [ジプシー、ラガーのほうを向き、ほんの一瞬だけ微笑と思われる表情を見せる。が、すぐにまた正面を向いて表情を引き締める]
犯人を追い詰めた資材置き場で
先に車でひとりで到着し、犯人・南郷をぶちのめすジプシー。
そこへドック、ロッキー、ラガーが走って駆けつける。
ジプシーのキックを受けてラガーの足元に転がる犯人。
- ジプシー
- 「(ラガーに向かって)手錠だ」
- ラガー
- 「原さん、俺は、原さんの一言で考え直したんです。だから手錠は原さんが…」
- ジプシー
- 「俺に妙な気兼ねはやめるんだ」
- ラガー
- 「原さん…」
- ジプシー
- 「いいか。初めから推理の筋道は二つあった。君の、選んだほうが正しかった。(ほんの一瞬ふっと表情を緩めて)それだけのことだ」
- ドック
- 「(ひとり先に立ち去ったジプシーの車を見送りながら)相っ変わらずつきあいづらいなあのフラメンコは。…じゃねえや。ジプシーか。(ロッキーを見やりながら)──でも割といいところも…」
- ロッキー
- 「(ドックと微笑み合いながら)あるみたいですね」
- ドック
- 「(意外さと嬉しさが混じったように)ねぇ」
- ドックとロッキー、ジプシーの車が去った方向を笑顔でもう一度眺める。
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